三越M CARD(エムカード)【募集終了】/利用機会増加中 (2) 

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三越M CARD(エムカード)【募集終了】
評価点数 星4つ(4)

レビュー内容

「三越の展覧会に無料入場するためだけのカード」のつもりで入会したつもりが、なかなか便利なカードと感じられるようになってきました。

【特典変更】
Terre_des_Homme さんがいち早く https://news.crefan.jp/crefannews-20150214213447-14065.html で伝えてくださった特典変更(改悪)について、3月末に封書での案内が届きました。
この変更、ライトユーザにとっては嬉しいものとなるかも知れません。
これまでは 1,000ポイント単位でしか金券交換できなかったものが、2016年4月以降は 1ポイント=1円単位で買物に利用できるようになります。
税抜 3,000円以下の商品や食料品では 1% しか還元されませんが、それでも高率な方。一般加盟店では 0.5% なので普通の(=悪くない)還元率です。
「そこそこお得」な印象を持つ会員は少なくないのではないかなぁ、と思います。
クラブオフでのチケット購入にも、本カードを使い始めました(セディナ/CF のエクスプレスカードからの切り替え)。

【期待以上の展覧会】
お恥ずかしいことに、古典以外の美術に目を向けるようになってきたのはつい最近のことで、院展もこの春に初めて観覧した次第です。それも、本カードで無料入場できるから、という理由で。
いやー、春の院展、素晴らしいものでした(素晴らしいのが当たり前なのでしょうけれども)。300点を超える作品群は、伝統的な日本絵具・岩絵具や金粉胡粉を素材としながら、自由な題材と発想と技術で新しい日本画の世界を堪能させてくれました。
本カードに入会して本当に良かったと、過去に機会を逸していたことの反省と表裏一体の感激を覚えていました。

【百貨店の役割】
つい最近 4/2 付で、PRESIDENT Online に三越伊勢丹HD の大西社長のインタビュー記事が掲載されました。http://president.jp/articles/-/14885
この中の一節を引用しますと、
『小売業全体の販売額約135兆円に対して、百貨店のそれは約6兆2000憶円と、わずか5%弱にすぎません。
つまり百貨店は、量の面ではもう「小売りの王様」ではなく、コンビニやカテゴリーキラー(大型専門店)に主役の座を譲っているのです。』
『では、百貨店にしか提供できないものとは何でしょうか。それこそが質であり、一言でいうと「ワクワク感」です。』
とのこと。
確かに、自分は未知の分野・商品・技との出会いを求めて百貨店を冷やかしに行きますし、百貨店は紹介や導入によって応えてくれます。
この「紹介」「導入」という役割に立ち返り、立場と矜持を取り戻しつつあるのが昨今の百貨店ではないかな、と。大西社長の記事だけではなく、他の百貨店を回っていても感じることです。
…本当に冷やかすばかりで、あんまりお金使ってなくてすみません。

【百貨店の価値】
東京の桜は殆ど花びらを落としてしまいましたが、桜は本当に美しく毎年楽しみですよね。この桜を悲壮感と絶望の中で見上げざるを得なかった年が、4年前の2011年でした。
明かりが落とされた街が如何に寂しく重たい存在であるか、思い知らされました。
復旧・復興はまだまだ途上でありますが、あの時以来、街の賑わいを愛おしく感じるようになりました。
ここで、ちょっと豆知識です。
銀座の三越は1945年5月24-25日の空襲で火災に見舞われますが、早くも 6/1 には一部の売り場で営業を再開していたそうです。終戦翌年の 4月には建物を改修し復興へ踏み出していたとのこと(江戸東京博物館の企画展「モダン都市銀座の記憶」展示パネルよりメモ)。
当時の人々にとって、営業を再開する百貨店の姿はどれだけ希望と勇気を喚起するものであったでしょう。時代は下って 2011年、未曾有の災害とエネルギー危機に恐れ戦き、しかし次第に力を取り戻していく街の姿に安堵と自信を抱いた者の一人として、当時の人々の気持ちに(一方的に)共感を抱いてしまいます。

特典変更・院展・経済誌記事の巡り合わせが、丁度桜の季節に重なりました。
三越Mカードの券面は、やや霞みが掛かった春の空にも見えてきます。

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レビューコメント

皆様、コメントありがとうございます!

>w_loverさん
「遊びに行ったついでのお買い物でもいい」…なんという名言でしょう。
日本百貨店協会の Webサイト http://www.depart.or.jp/ のトップに飾ってもらいたい言葉です。そうですよね。余暇という意味の「遊び」、余地という意味の「遊び」、それらを備えているのが百貨店であると思います。
だから、それぞれの売り場の店員さんから、商品知識だけでなく様々な情報を得ることができる。街路とは違う時間が流れているから、ちょっと立ち止まって店員さんとの会話を楽しんでいい。
ところで、銀座のH とはメンズ専門店にリニューアルしたあそこですよね。お洒落過ぎて、寄り付けません…(笑)。やっぱり w_lover さんは感度の高い方だなぁ、と思いました。
D は心斎橋の本館の建物が素晴らしいですよね。建替も検討中とか。なんとか現在の建築の特徴を残してもらえないものかと。また、東京店 1F のお菓子売場配置は、百貨店業界の大発明だと思います。あの楽しげで開放感に満ちた様子に、ついつい吸い込まれてしまいますw。

>exchemistさん
1995.1.17 当時、自分は学生でほんのささやかな義捐金寄付しかできなかったことを覚えています。阪神高速の倒壊や伊丹駅の圧壊など、ショッキングな映像が先ずは飛び込んできましたが、大好きな洋菓子やいつもお世話になっている薬品が影響を受け、生活の裏で国内が密接に繋がり合っていることを実感するに至りました。
神戸や大阪に興味を向けるようになり、百貨店や老舗の数々、私鉄の発達など「関西」「近畿地方」を知るようになったのも、発端はこの辺りにありました。大きな悲劇があって初めて目を向けるというのは大いなる不明でありますが…。
大阪の三越伊勢丹に関しては、残念ながら想像通りと言いますか…。各地の出身者の方と地元百貨店の話をするのが好きなのですが、「何かあればやっぱり阪急さん」と嬉しそう&誇らしげに語る様子が印象的でした。食品売場が楽しい阪神に、心斎橋・梅田の老舗大丸、加えて南には高島屋や近鉄。「東京のデパート」が通用するようには思えませんでした。
ところで、大丸東京店は上層階のギャラリースペースを廃止してしまったのですよね。地場ではないとはいえ、東京駅八重洲口と言えば大丸さん。今後の復活を願っております。

>daifukuさん
自分も「百貨店のカードを増やすと際限が無くなるし、年会費がそれなりに掛かるので手を出したくない」と考えていたのですが、ちょくちょく行くようになると、特に展覧会に入り浸るようになると、「なんでもっと早く入会しておかなかったんだろう」という感覚に変わってしまいます。現金なものですw。
とはいえ、友の会にはまだまだ手を出せません。クレカとの組み合わせを検討するのが面倒になってきますし、特定の百貨店を重視するにしても、他に全く行かないなんてことはありませんし、やっぱり「後ろ髪を引かれ」てしまいます。今はまだまだ、百貨店それぞれに特徴をあちこち体験してみたい、という段階です。
なお、三越と高島屋では展覧会の入場口付近で盛んにカード勧誘をしています(全く勧誘していない松屋とは対照的です)。自分もそこで捕まった口(高島屋でも三越でも!)ですので、これらの展覧会にいらっしゃる際にはどうぞご注意ください。「ま、そこまで勧誘するなら、決済に使わなくても文句は無いだろう」とか、自分向けの言い訳が簡単に成立してしまいますw。

2009年発行の書籍ですが、放送作家の寺坂直毅さん著の『胸騒ぎのデパート』(東京書籍)という本があります。
あおりには『デパートは「エンターテインメント」である!』とあり、実際百貨店への愛と期待に溢れています。各店舗への取材もしっかり行なっており、建物・エレベーター・制服・包装紙・紙バッグが取り上げられています。包装紙の由来やそこに込められた思いが丁寧に説明されていて、百貨店好きとしては思わず涙ぐんでしまいます。
本書での取材先は 31店舗+高島屋史料館のみなので、是非他の店舗を対象に続編も出していただきたいなぁ、と。
単なる決済手段ではないクレジットカードを愛され、単なる売場ではない百貨店を楽しまれる皆様には、共感いただけるのではないかと思います。
カードの話ではないですが、20年前の神戸がまさにその状態でした。
そごう、大丸ともに全壊となり、立て替えが行われました。
懐かしい想い出です。
そごうはそれほどではありませんが、大丸神戸店では今でもイベントスペースにて芸術系のイベントを行っています。

残念なことに三越はなかなか関西では勝つことができず、リベンジの大阪店も閉店してしまい、もう関西進出はないかもしれません。
跡地にオープンしたルクア1100が絶好調なのは皮肉なものですが。